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イケてるサイトなのに宿泊予約されないのはなぜ
「イケてるサイトを作れている自信がある」
「ホテルの魅力や世界観もすごく伝わっているはず」
「SNSでも色々な人から反響を得られている」
それなのに、なぜか自社サイトからの宿泊予約の数が増えない。サイトの世界観は、宿の魅力や強みを伝える上でかかせない大切な役割です。しかし、その役割だけで、お客様が予約してくれるとは限りません。だからといって、世界観を諦めて予約のしやすさを追求すれば、うまくいくわけでもありません。
では、予約されないサイトには、どんなところに問題が隠れているのでしょうか。それは、「ホテルを運営する側」にはまだ見えていない、サイトに必要な役割のぬけもれです。
「泊まりたい」と「泊まる」は、別の状態
まず、ユーザーはサイトを訪れる前に、宿を知るきっかけがあります。
例えば、SNSを見ている際、客室から広大な海を一望できるリゾートホテルの投稿を見つけます。ここで初めてホテルを知り、広大な海の絶景に惹かれてどんなホテルなのか気になります。気になったユーザーはサイトに入り、ホテル体験や世界観、魅力に触れ、さらに興味が深まり、心が動いた状態になります。これが「泊まってみたい」という状態です。
この時、ユーザーは次に「確かめる」という行動に入ります。その際、現実的な問いを考えながらホテルを確かめていきます。
「客室から見える広大な海に惹かれたけど、本当にこの景色が見えるお部屋に泊まれるのかな」
「子供と一緒に泊まりたいけど、子供用のベッドはあるのかな」
「友人3人で海の眺めを堪能したいけど、3人で泊まれるお部屋はあるのかな」
どんなに世界観に惹かれて泊まりたいと心が動いていても、予約前に様々な不安が頭に浮かんできます。そこで確かめるために、ユーザーはサイト検索や複数サイトの比較、検討を行います。この判断が終わり、「ここは自分が理想とするホテルだ」、「このホテルなら安心して泊まれる」とわかると、初めてユーザーは「泊まる」ことを決め、予約をします。
このようにユーザーは、知る・気になる・確かめる・決める・予約するという5つのステップを踏んで、予約を決めていきます。


サイトには3つの役割がある
この5つのステップに対して、サイトの役割を分けると、大きく3つあります。
①気持ちを動かす役割
ユーザーが「泊まってみたい」と思うまでの「知る・気になる」の部分です。SNSなどのメディアや広告を通じて宿を知り、サイト内での体験や魅力が伝わることで、心が動くきっかけを作る役割です。
②判断材料を渡す役割
「気持ちを動かす役割」を通じて、「泊まってみたい」と思った後の「確かめる」部分です。客室の広さ、景色の良さ、温泉の有無、アメニティの種類、チェックインやチェックアウトの時間など、サイト内から色々な情報を検索、比較、検討し、「本当に泊まるべき宿なのか」を判断します。
③手続きを完了させる役割
判断を行い、「泊まる」ことを決めたら、「予約する」フェーズに入ります。ここで、宿泊プランの選定や決済手段、オプションの選定、お客様情報の入力を行い、予約を完了します。
この3つの役割は、サイトから予約してもらうために、どれも必要な役割です。宿を運営する側は、どうしても「気持ちを動かす役割」や「手続きを完了させる役割」に重きを置いてしまいがちです。その結果、その間をつなぐ重要な「判断材料を渡す役割」が抜け落ちてしまうことがあります。「気持ちを動かす役割」である世界観だけがあれば良いわけでもなく、「手続きを完了させる役割」である予約手続きのしやすさを優先した方がよいわけでもありません。この2つは対立構造で考えるのではなく、「判断材料を渡す役割」でつなぎ合わせ、陸続きになっている必要があるからです。


そして、こだわりがある宿ほど、「気持ちを動かす役割」に目が向きます。なぜなら宿を運営する側は、既に自分たちの宿の魅力を知り尽くしているからです。
「このホテルでしか味わえないオーシャンビュー」
「このホテルでしか体験できない海が目の前にある温泉」
「この地域でしかとれない最高の食材を使ったディナー」
ユーザーにこの魅力を伝えたい、体験してほしいという想いで溢れ、「気持ちを動かす役割」に意識が向きやすくなります。
一方で、ユーザーは「気持ちを動かす役割」だけで決めるのではなく、本当に泊まるべき宿なのかを実際にサイトの内容を見て確かめてから「泊まる」ことを決めます。
そのため、宿を運営する側が見せたいものとユーザーが見たいものにズレが生じてしまいます。決して宿を運営する側が間違ったサイト作りをしているからではなく、宿側とユーザー側で見ている視点が異なります。
直すべきところはボタンじゃない
では、このズレはどのように見直していく必要があるのでしょうか。
実際には、宿を運営する側では、既にサイト内にユーザーが確かめたい情報を準備しているかもしれません。そこで、その情報にたどり着くために、「ボタンを見やすくしてあげれば、良いのではないか」というと、それだけではありません。
サイトには、ボタンなどの目に見える表層部分だけで構成されているわけではなく、表面の奥には、目には見えないけど重要な役割を持つサイトの設計がいくつもの階層に分かれて組まれています。
予約されるサイトと予約されないサイトでは、こうした表面の浅い部分から、その奥にある深い部分まで、どこかの設計に違いが生じている可能性があります。
では、予約されるサイトではどこまで設計に落とし込んでいるのか、事例を見ながら考えていきます。
MUJI HOTELでは、ただホテルの魅力や世界観を伝えるだけでなく、ユーザーが「自分たちはどの部屋が合っているのか」を判断し、予約へ進める設計となっています。TypeA〜Iの各客室タイプを1ページで見れるようにし、比較しながら選べます。ベッドタイプ、宿泊人数、バスタブ・シャワーの有無など、滞在に必要な情報が具体的に示されており、「自分に合うお部屋」を判断しながら予約へ進める導線が用意されています。そのため、一つの流れとしてスムーズに予約まで進められます。


続いて、AMAN東京では、ページトップで大きなフレーム映像が流れ、ビルの上層階から望む皇居、都心、富士山の眺望など、AMAN東京でしか味わえないラグジュアリーな世界観を伝えています。その世界観を崩すことなく、宿泊料金に含まれる朝食や客室内の飲み物、プール、フィットネスなど、「宿泊時に何を体験できるのか」を判断してから予約へ進めます。ユーザーの心が動いた気持ちが途切れることなく、予約まで直結する設計です。


これらの事例からわかるように、予約されるサイトは、ボタンなどの表層的な部分のみならず、ユーザーが判断するために必要な情報を用意する役割、必要な情報へ迷わずにたどり着ける導線、たどり着いた情報を分かりやすく整理する情報設計、そして最後に、ボタンや文字、色、写真など、ユーザーの目に触れる表層部分と、深い部分から浅い部分まで階層的につまずくことなく設計されています。
つまり、予約されないサイトの原因は、その階層的な設計部分のどこかでつまずいています。


自分たちのサイトは、どこでつまずいているか
予約されるサイトにするために、まずは自分たちのサイトで、ユーザーがどの部分でつまずいているのかを探します。実際にサイトを訪れているユーザーの視点に立って、深い部分から浅い部分へと、自分たちのサイトで確かめてみてください。
① 初めて見たユーザーが確かめたい情報は入っていますか。
あなたのホテルに来るお客様は、どんなことを求めてホテル探しをしているでしょうか。広大な海を一望できるリゾートホテルの場合、子連れファミリー層のお客様が多いと思います。その場合、客室ページには、ベビーベッドの貸し出しや添い寝の可否、お子様も楽しめる施設や食事情報があるのかをユーザー視点で確かめます。そうすると実は、ユーザーが求めている情報にぬけもれがあるのかもしれません。
② 初めて見たユーザーがその情報へたどり着けますか。
サイト内に子連れファミリー層のお客様が必要とする情報は揃っているけど、初めてサイトを見ているユーザーが、その情報にたどり着けるでしょうか。どんなにサイト内に情報があったとしても、よくある質問に全ての情報がまとまっていては、ユーザーが探すまでの時間や負担が大きくなります。その間に「泊まりたい」という気持ちが冷めてしまうかもしれません。そのため、しっかりと到達できるかを確認する必要があります。
③ その情報を見たユーザーは迷わず理解できますか。
情報を見つけたユーザーは、その情報をすぐに理解できるでしょうか。例えば、子連れファミリー層のお客様が情報にたどり着いたとしても、ベビーベッドの貸し出しや添い寝の可否などの説明が1つの長文で記載されていると、ユーザーは読んでもすぐに頭に入ってきません。そうするとせっかく書いてある情報を見逃しているかもしれません。もし、アイコンと一緒に整理された状態で記載されていれば、ユーザーは視覚的に情報を見逃すことなく理解してもらえます。
④ ユーザーは予約の操作でつまずきませんか。
①〜③までを全て確認し、つまずくことなくサイト設計できていて、ようやく表層部分の確認に入ります。ここで、ユーザーは予約ボタンに気づくことができるのか、文字の大きさや色、レイアウトからユーザーが操作してつまずくことなく予約できるのかを確認していきます。
このように、浅い部分のみではなく、深い部分からホテルに訪れるユーザーの立場で1つ1つ丁寧に問いを立て、原因を追求していくことが大切です。自分たちのサイトがどこでどのようにつまずいているのか、何が抜け落ちていて予約まで導けないのかを探し当て、改善していくことで少しずつ予約されるサイトへと近づけていきます。
解決手法は宿ごとに違う
実際に、ユーザーがどこでつまずき、どの部分から直すことで予約されるサイトにできるのかは、宿の形態、お客様、価格、検討期間、サービス内容などによって異なります。一つとして同じものはありません。
大切なことは、目につきやすい部分から何となく改善するのではなく、自分たちのサイトのどこでつまずいているのかを見つけ、原因となっている部分を見直していくことです。
私たちも、ホテルのブランディングからサイト制作に携わってきた経験があるため、一緒に考えながら、宿に合ったサイト作りのお手伝いができると思っています。悩みや課題がまだ曖昧な状態からでも、お気軽にお問い合わせください。