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自社のホームページ、営業資料、SNS。あるいは名刺や封筒。
これらを並べてみたときに、「なんとなくバラバラ」「同じ会社のものに見えない」と感じたことはありませんか?
せっかく洗練されたロゴがあっても、色使いや写真のトーンが揃っていないと、積み上げてきた信頼は伝わりにくくなります。
これはセンスの問題ではなく、社内にデザインの「使い方のルール」がないことが原因です。その結果、積み上げてきた信頼や強みは伝わりにくくなり、「この会社に任せて大丈夫かな」という顧客の無意識の不安につながることもあります。
この記事では、会社らしさをブレずに伝える「見た目のルール作り」について解説します。
ビジュアルアイデンティティ(VI)とは?
VIとは一言で言うと、「その会社らしさが、誰が見ても伝わる仕組み」です。
たとえば、街で見かける広告を一瞬みて、ロゴを見なくても「あの会社だ」と感じるのは、色・文字・写真の雰囲気が一定のルールで揃っているからです。
クリップでは、企業の理念や大切にしたい価値観をヒアリングし、
・どんな色を使うか
・どんな書体(フォント)を使うか
・どんな写真の雰囲気にするか
といった要素を、現場で使える「見た目のルール」に落とし込みます。
ここでお伝えしたいのは、VIはただ「おしゃれにする」「なんとなくかっこよくする」ためのものではなく、その会社にふさわしい「世界観」を、誰が作ってもブレずに表現するためのものだということです。
VIが大切な理由
SNSや動画、ネット広告など、お客さまと企業の接点は急激に増えています。
接点の場所が変わるたびに見た目の印象がバラバラだと、記憶にも残りにくくなります。逆に、どの接点でも同じ世界観が保たれていれば、接点ごとに印象が結びつき、「同じ会社だ」と理解してもらいやすくなります。
VIを整えることは、単におしゃれにするためではなく、他社との違いを明確にし、社内の制作スピードを上げるための戦略なのです。情報があふれかえる昨今、その会社らしさをブレずに伝えるための「見た目の基準」として、いま、重要性が高まっています。
VIが崩れてしまう「現場の悩み」
VIのルールがない現場では、次のような理由で「表現が揃わない状態」が起きがちです。
もし当てはまるものがあれば、そこがVIの整えどころかもしれません。
①担当者ごとに判断が変わる
営業は信頼感を重視し、人事は親しみやすさを、企画部は格好良さを重視する。それぞれが会社のことを考え、良かれと思って作った結果、全体で見ると印象が薄まってしまうことがあります。
②依頼先ごとにトーンが変わる
Web、パンフレット、動画など、依頼する制作会社が分かれると、共通の基準がない限り、各社の解釈でトーンが変わってしまいます。並べてみたときに「同じ会社に見えない」状態になりやすいポイントです。
③ルールはあるのに、型がない
ルールはあっても、すぐに使えるテンプレートや型がないと、忙しい現場での再現は難しくなります。その結果、どうしても「とりあえず作る」という自己流が増えてしまいます。
④修正指示が「好み」になる
基準がないと「もっと目立たせて」といった感覚的な指示が増え、制作の迷いや作り直しが続いてしまいます。
こうした「バラつき」を防ぐために大切なのは、社内でセンスを揃えようとすることではありません。「同じ会社らしく見えるための前提を先に揃えること」です。
最初に決める2つの前提
私たちクリップは、具体的な見た目の話に入る前に、まず次の2つを確認します。ここを揃えることで、デザインが「好み」ではなく「目的」に沿った判断に変わります。
前提1)会社がどう見られたいか
ブランド戦略や理念(PMVV)などの情報を手がかりに、「その会社らしさ」をまず言葉でそろえます。「銀行のような規律ある誠実さ」なのか、「家族に寄り添う温かい誠実さ」なのか。その言葉が矛盾なく伝わるように、見た目のトーンへ「翻訳」していきます。
前提2)VIがどのような場面で使われるか
VIは、使われて初めて機能します。営業資料、SNS、採用、Webなど、どの場面で、誰が、何をつくるのか。ここが先に見えていると、現場に必要なテンプレートや、例外的な扱い方も決めやすくなります。
この2つが揃うと、ロゴや色の話が「好み」ではなく、目的に沿った判断に変わります。
CIの策定プロセスについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
CI・ブランドコンセプト、ネーミング開発について詳しく見る迷わない「ルール」の作り方
「どう見られたいか」と「使われる場面」が整ったら、次はその方向性を現場でブレなく再現するためのルールを作ります。
ポイントは「実際に使う人がどこで迷うか」という現場の視点まで先回りして決めることです。
①ロゴ
最小サイズ、周囲の余白、背景別の使い分け、禁止事項など。最も迷いが出やすいため、運用を安定させるための「最低限」を定義します。
②カラー
メイン・サブの役割や使用比率、画面や印刷で色が変わる場合の「代替色」など。使いどころを間違えるとイメージが大きくブレるため、慎重に設定します。
③フォント
見出しや本文の書体、階層ごとのサイズの目安など。読みやすさだけでなく、清潔感や信頼感といった「印象」を左右する重要な要素です。
④写真のトーン
明るさや色味、被写体の方向性、図解のテイスト。ここが揃うと、一目で「その会社らしさ」が伝わるようになります。
⑤テンプレート
営業資料、SNS投稿、バナーなど、現場で「すぐ使える型」を準備します。
さらに、現場では「どうしてもルール通りにいかない条件」が必ず出てきます。そのため、媒体の制約があるときの「逃がし方」といった例外のルールまで具体化しておきます。
こうした細部まで整えることで、デザインは「なんとなく整えるもの」ではなく、誰でも一定の品質で再現できるものに変わります。その結果、制作のたびに迷いが減り、会社の統一感を保ちやすくなります。
これらのルールは、社内外で迷わず使えるように「ブランドガイドライン」としてまとめてご納品することもあります。
運用でVIを育てていく
VIは、作って終わりではありません。実際に使い始めたあとも統一感を保つには、変化に合わせて「更新」できる状態にしておくことが大切です。
運用が始まると、当初のルールだけでは判断が難しい「想定外のケース」が必ず出てきます。こうしたズレを防ぎ、会社らしさを育てていくためのポイントは3つです。
①更新の判断
迷いが出たときは、それが「よく起きること」なのかを見極めます。頻繁に起きるならルールを追加し、たまになら例外としての「逃がし方」を決める。この積み重ねが、現場の自己流を防ぐ鍵になります。
②テンプレートの更新
ルールが守られない原因の多くは、「忙しくて作り込めない」ことにあります。よく使う資料やSNS投稿は、テンプレート自体を使いやすく見直すことで、品質とスピードを両立しやすくなります。
③定期チェック
Webサイト、資料、SNSなどを並べて見て、「同じ会社に見えるか」を定期的に確認します。ズレが小さいうちに整えることで、ブランドの印象を正しく保てます。
VIは、見た目を整えることがゴールではありません。どんな場面でも同じ会社の制作物として伝わり、日々の発信や判断の負荷が下がっていくこと。その良い循環を作ることで、ブランドの信頼は一歩ずつ積み上がっていきます。
補足:見落としがちな「権利」のチェック
最後に、VIやロゴ制作で欠かせない「権利」の話にも触れておきます。せっかく方向性が固まっても、あとから権利の問題で使えないと分かれば、作り直しが必要になり、発信も止まってしまうからです。
そのため、クリップでは制作と並行して次のような確認を行っています。
・商標:ロゴやサービス名が、すでに他社に登録されていないか
・著作権:デザインが既存のものと酷似していないか
・ライセンス:使うフォントが、商用利用できるルールになっているか
「誰がどこまで確認するか」を事前に決めておくことが、安心して運用を続けるための大切なポイントです。
クリップでは、VIを単なるデザイン制作ではなく、ブランドの印象を積み上げていくための「土台作り」と考えています。
見た目が整うことで、制作のたびに迷うコストが減り、会社の信頼感が積み上がっていきます。ルールの整備や権利の確認まで丁寧に行うことが、事業の成長を支える力になると考えています。
「自社らしさをどう表現すればいいか分からない」という段階でも、まずは資料やサイトを拝見しながらの「壁打ち」から承っています。改善の糸口を見つけるための作戦会議として、お気軽にご相談ください。
Case Studies 制作実績
これまでに手がけたブランディングやWebサイトの制作実績をご紹介しています。
業種を問わず、コーポレートサイトからブランドサイトまで対応してきました。
世界のWebデザイン3大アワードを複数の案件で受賞しています。